帝国データバンクは、全国1万1680社を対象に価格転嫁に関する実態調査を行った。(調査期間は12月16日~1月5日)
調査によると、コストの上昇分を商品の販売価格やサービス料金に「多少なりとも転嫁できている」企業はおよそ7割(69.2%)となり、少しずつ値上げへの理解は進んでいることがわかった。
しかし、実際のコスト増をどのくらい価格に転嫁出来ているのかを示す価格転嫁率は39.9%に留まった。コストが100円上昇しても、価格は40円ほどしか上げられず、残りの60円は企業が負担しているということだ。
業種別で見ると「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(66.0%)や「化学品卸売」(62.8%)など卸売業界が上位を占め、価格転嫁が進んでいることがわかった。
一方で、病院などを含む「医療・福祉/保健衛生」(10.5%)や「娯楽サービス」(12.7%)、「旅館・ホテル」(21.7%)などは低水準だった。
帝国データバンクは、「価格転嫁率は4割を下回り今後も商品・サービスの価格上昇は懸念されるなか、企業がコスト上昇分を負担している状況も限界に近づいている」と分析している。
きょうから春闘が事実上スタートしたが、賃上げの実現に向けて企業の厳しい状況が浮き彫りとなった。